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掌編小説:「なぞ」の風景写真

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写真が出てきたので書いた掌編小説です。

 

■「なぞ」の風景写真 ■

 

 

10年以上前に購入した一眼レフのデジカメを、そろそろ買い替えようかと思ってデータの整理を始めたときのことだ。

 

その中に入っていた1枚の風景写真に首を傾げた。

撮影日時は20XX年9月25日の15時35分。

その前に映っていたのはただの茶色いまんじゅうで、後ろに映っていたのはお茶のペットボトル。

食べ物と飲み物に挟まれて、所在無さげにモニターの中に映し出されている風景は、残念ながら私の記憶のどこを探しても見当たらない。まるでこの写真の空のようにもやもやする。

なんだかなぁと思いながらも作業を続けた。

 

ただ、その風景写真をどうするか。

削除する気はないが、一緒くたにまとめてしまうのが何だか惜しい気がしたのだ。

少しだけ悩んで、私は新規に「なぞ」フォルダを作成し、そこにこの風景写真を入れた。

今度、時間ができたときにでも、この写真をどこで撮影したのか調べてみよう。

何かのネタになるかもしれない、なんてことを半分冗談、半分本気で思いながら。