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7's Library

小説書いたり本作ったり短歌詠んだり感想呟いたり

SS企画《俺のグルメ》FESTIVAL:母の味

小説(掌編)

SS企画《俺のグルメ》FESTIVALで書いた掌編です。

お題:「これが! 俺の! グルメだ!!」を詰め込んだ、“おいしそう!”な飲食風景

ジャンル:オリジナル、家族モノ

 

■ 母の味 ■

 

怒りで何も考えられなかった私の口に、黄色くて柔らかい塊が突っ込まれた。
「むぐっ」
抗議の声を上げるつもりが、まぬけなうめき声にしかならず、ついでにその柔らかい塊を噛んでしまった。
やさしい甘さとほどよい焦げ具合による香ばしさ。
ついそれまでの怒りを忘れ、その塊をもぐもぐと味わい、飲み込んでしまった。
「怒ってるときには甘い物がいいのよ?」
その言葉に、瞬間湯沸かし器の如く怒りが再燃したものの、再び口に突っ込まれた塊を、やはり私はもぐもぐと食べてしまう。
甘くて香ばしくて美味しくて、癖になる。
「明日のお弁当にはちゃ〜んと卵焼き入れるから許して? ね?」
全く邪気のない母の笑顔に、私は再びもぐもぐしながら頷いた。