Twitter300字ssで書いた掌編です。
お題:写真
ジャンル:オリジナル、おねショタ
■ かぞくごっこ ■
君にカメラを向けたのはほんの出来心だった。
ひと月後、プリントした写真の中の君は、今の君よりほんの少し幼くて小さくて、あぁ、こんなに小さかったんだ、と懐かしさを覚えた。
それからは、定期的に君を撮った。
笑う君、泣き叫ぶ君、首をあげた君、はいはいをする君、歩き始めた君、しゃべり始めた君、友達と遊ぶ君。
少しずつ大きくなっていく君。
いつか一緒に見返したい。
「お姉ちゃんの写真はないの?」
「うん。私は写真に写らないんだ」
「ふぅん?」
私の姿は写真や鏡に写らない。
仮に写ったとしても、ね。
成長する君としない私。
いつかは気付いてしまうだろうけれど。
今はまだ、どうかこのままで。
絶対に、君の血だけは飲んだりしないから。