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「zine展 in Beppu 3」に参加しました(その2:買った本のこといろいろ)

 

上記記事の一応、続きです。

こちらでは「zine展 in Beppu 3」で購入した本の感想を書きました。内容はTwitterに投げたものに、ちょこちょこ私的な内容が追記されてるだけです。

 

私は現在富山在住で、去年娘を産んだばかり(イベント開催時約1歳4か月)、夫は土日休みではない仕事をしてますので、そうそう大分県まで行くことは難しいです。そんな私がどうやって別府開催のイベントの本を購入できたか?

zine展 in Beppuでは、今回からお買い物代行※という、イベントに行けない人でもイベントで頒布される本が購入できるサービスがスタートしました! 素晴らしい。

※元々はText-Revolutions(テキレボ)が始めたサービスです。

ただし、イベント終了後、在庫がある本のみが購入可能です。申し込みや入金はイベント前に行いますが、実際に本が買えるかはわからないというところで、通販とはちょっと異なります。が、とにかくこのサービスのお陰でイベントに行けない私も本が購入できました☆

漫画やイラスト集、写真集、小説、詩歌などなど、本当にいろんなzineが扱われていて、特にどれがメインというのがないとこも魅力の一つだと思っているので、できるだけいろんな作家さんの、いろんなジャンルの本を購入するようにしてみました。どんな本があるんだろう?っていう参考になったらいいなぁと思います。

ちなみに初めて買う作家さんのご本は、イチオシのzineからセレクトさせていただきました。このページ、今回本を選ぶのにとっても参考になりました! 

 

● 詩集

『金魚は尾ひれをうしなって』豆塚エリさん

15~23歳までに書いた詩のうち、より美しい詩をまとめた詩集とのこと。

えー実は私、詩が苦手なんです。こういうインディーズに限らず、一般の詩もよくわかりません。そんな私がなぜこの詩集を購入したかというと、紹介文に惹かれました。私も、人魚姫の物語が凄く心に残ってるんです。紹介文に人魚姫のことが書かれてて、なんかあぁって惹かれたんです。あとは、去年参加したzine展の主催さんの作品を一度読んでみたいと思っていました。テキレボ4で買おうか迷ったのですが、せっかくなので豆塚さん主催のイベントで!と。

本は約15cmの正方形で手に取りやすいサイズです。紙とタイトルはキラキラと上品な輝きでなんか手に持ってるとドキドキしますw 群青の遊び紙もキラキラ! 海の底へ誘われているような雰囲気で、遊び紙ってこうやって本の雰囲気を演出するんだなって勉強になりました。

詩は、金魚、おとぎ話、言葉、学生にまつわるものが多かったです。特に好きなのは、タイトルのない、区切りのように差し込まれた言葉たち(5、13、19、37、49ページ)。おとぎ話の世界から少しずつ現実を知っていかなければならないような流れを覚えました。ある種の残酷さと諦観を感じるとともに、おとぎ話の世界(あるいは子どもの、もう戻ることのない世界)を愛おしみたいという気持ちに。

タイトルがあるものだと、「排水口」のぐるぐる感、「ブラブラの話」のユーモアが感じられるところが好きでした。

ただ、どの詩も、なんだかふらっと読みたくなる魅力がありました。優しさよりは強さを感じる詩が多く、でも別に優しくないわけじゃなくて、優しさをあえて隠しているというか、そんな風に感じられて、それが凄く好きというか、心に引っかかる感じがしました。何度も読み返したい本です。

同封されていたフリーペーパー「こんぺき通信」vol.3に、作品への思い入れなどが書いてあって、こちらも読んでて楽しかったです。

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●  論文

『ELEKTRAS TOD』キリチヒロさん

2012年、オーストリアのグラーツ歌劇場で上演されたオペラ「エレクトラ」の演出に関する卒業論文

こちらはzine展とは関係なく、キリさんの書かれる文章が好きなので買いました(強いていえば、仕事でウィーンを含む中欧に1か月ほど滞在したことがあり、その関係で向こうの文化に多少の縁を感じている、ぐらいです)

卒論の良し悪しはわかりませんし(専門卒)、エレクトラも全く知りませんでしたが、凄く面白かったです!(ドイツ語とほとんどの注釈には目をつぶりましたが)。

エレクトラの内容も、論文を読み進めている間になんとなくどのような話なのか、どういう場面が重要なのかとか、そういうのが少しずつわかっていくのでストレスなく読めました。論文なので引用は多いのですが、とにかくわかりやすいです(舞台写真付きで丁寧です)。

そしてこれはこの論文のメインだと思うのですが、実際にこのオペラを演出した演出家へのインタビューがとにかく素晴らしいです(そもそもインタビューできたことが凄いと思います)。物語をどう捉えるか、どう解釈するか、そしてどう伝えるか伝えられるのか、などということを考えさせられました。創作される方はぜひ読んでみるといいと思います。

キリさんが書いた作品ということ、そもそも卒論ってどんなんだろうという好奇心だけで手に取ったのですが、想像以上に面白く、読んで良かったと思える本でした。

表紙も好きです。この論文の世界を表しているように思えました。

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● 漫画

『終末ごはんは、君とふたりで。』月島あやのさん

世界の終わりにごはんを食べる物語。

あやのさんとは、4年ぐらい前にHokkoさん主催のグループ展に参加した縁で、いろいろお世話になっています(主に育児関係で)が、それとは別であやのさんの描かれる物語や絵がとても好きなので、これもzine展とはあまり関係なく購入しました。ちなみに完売だったそうでおめでとうございます♪

表紙本文ともに多色刷りのような色味で、本文用紙が少し黄色みを帯びた紙なのと相まって凄く素敵。オシャレで、それ以上に物語の雰囲気とリンクしてて世界観が広がる感じがしました。明るく懐かしく、それでいて少しの切なさを感じる物語。特に見開きページが印象的で、想像が広がりました。あと、表紙が凄く好きです。色味もそうですが、屋上遊園地の風景と、主人公がごはん食べてる表情(口のもごもご感)がユーモアがあって、あやのさんが描かれる世界の終わりの不思議な明るさが感じられました。

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● 小説、小説(折本)

『鍵が見つかりませんお月様。』 土佐岡マキさん

Twitterで桂瀬さんが気にしてるのを見て、zine展にも出てるからどれか一冊〜というところでイチオシのzineに紹介されていたこちらを買いました。

日常系ミステリ、大変美味しくいただきました。なくなった鍵を探すという、凄く地味なミステリですが、謎を解く過程で主人公と同居人の性格がこれでもかと暴かれていくのが面白かったです(笑) あと、世話焼きオカン男子は一家に一人ほしいですねw

『ねーパパこっちむいて! ハイキング編』 土佐岡マキさん

父とちびっこ300字ss集折本。こちらは無配おまけで入っていたもの。とてもかわいかったです! お父さんがどう答えるのかドキドキw 各作品の最後に入るツッコミも良かったです。

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● 小説(豆本

『ねこのほん』 くまっこさん

くまっこさんの豆本製造ラインで作り方を読んでほしいな〜と思っていた本。2年越しぐらいに手に取ることができて嬉しいです。私のはクロでした(表紙の色によって入ってる話が違うのです) 。

相沢ナナコさんのコネコビトのお話も入ってて、レシピ付き。美味しそうでした(注:猫が美味しそうなわけではない)。くまっこさんのお話は『ねこのはなし』で一度読んだ物語でしたが、本の形というか編集が違うせいか『ねこのはなし』とはちょっと違う感じがして面白かったです。間に入ってる猫写真にねこっとなります。

表紙のフェルトがあったかくて猫を思い出す素敵な仕様なのがとても好きです。猫写真のポスカ付き。ポスカに180円とあったので本に+180円?払ってないよどうしよ?!と一瞬なりましたw

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● 小説(紙雑貨系?)

『読む電柱』らしさん

タイトル通り、電柱の形の本です。それだけでもう気になっちゃいますよね!ってことで購入しました。

vol.01『踊る電柱』

子どもの頃読んだ絵本の大人版みたいな感じがしました。ファンタジックだけど現実感があって、皮肉なところもあるけどユーモラスで笑っちゃうのです。

vol.02『蕩ける電柱』

電柱シリーズ第2段。電柱も内容もパワーアップ! 勢いがあって一気読みしてしまいまいした。どこへ向かうのかわからないストーリー展開、オチも凄かったです。

まずどこを読むのかも気になっていましたし、読んだあとは写真撮ってなかったらこれ戻せなかったんじゃ?と思いました……。とてもかわいいので2本並べてどこかに飾っておく予定ですが、家電のそばに置くと家電が喜ぶらしい(らしさん情報)と聞いたので、なんとか家電のそばに置いてあげたいと思ってます。

あ、vol.03が出たら絶対欲しいです。

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● その他

『雨の引力、夜のりんご』42101さん

これもイチオシのzineの紹介文を読んで購入しました。絵本? ふんわりとした物語、抽象的な絵、モノトーンで彩られた不思議な宇宙空間を覗き見ているような気分になります。独特の世界観が魅力的です。りんごの落ちる先の解釈が面白かったです。

あと、無配のおまけで入っていた『ますにとぼう vil.23』。これいただけて凄く良かったです。これがあるのとないのとじゃ『雨の引力、夜のりんご』の物語感が全然違います。創作に関するいろんな考えが書かれてて、とにかく凄く面白かったです!

あ、『雨の引力、夜のりんご』は小口を切り開いて読む仕掛けになってて、それも面白かったです(上の写真が小口を切る前)。この状態で中を覗くと宇宙空間みたいですw シンプルな表紙も素敵。f:id:Library7:20161118161544j:image

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『七彩の虹曜日』宵星社さん

1週間の7曜日×虹の7色をテーマに書かれた本。どの作品をどちらの作家さんが書いたのかは奥付に書かれていて、それを踏まえて読み直すと、あぁ、それぞれの作家さんの特徴がわかるな〜となって面白かったです。

一番好きなのは「境界線上で口笛を吹く木曜日」。1週間の中で一番曖昧というか印象に残りにくくてぼやけた感じがするのが私は木曜日で、それが、あぁうんって腑に落ちる言葉たちでした。

A7サイズのかわいい本。写真も雰囲気が出てて素敵。表紙写真とタイトルがすごくぴったりしてて良かったです。

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『アンソロジーガイドブック』 くまっこさん

原稿募集時からほしかった本です。表紙表4が上品な可愛らしさでオシャレ!

中も見やすいレイアウトに充実した内容でとても良かったです。各イベントや委託ショップの説明が付いてるのもやさしさを感じます。写真右はくまっこさんの文庫本紹介冊子。チャートがついてて面白かったです。

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『sly』花森ゆきめさん

無料配布。シンプルにオシャレで、ふおぉぉぉってなる。封筒の中に表紙と本文が入ってるつくりが素敵で、まさにずるいw 封筒に入っていると、開けるまで何が入ってるんだろうってドキドキわくわくする感じが良かったですし、中身も本当にセンスがあって凄いです。

 

『ことり通信 第1号』花野ことりさん

無料配布。たぶん手描きのイラストと手書きの文字で書かれてて、5cmぐらいの正方形のコピーのじゃばら本。ちょっと見にくいところもあるけど、それも味わい深く、かわいくてほっこりしました。

 

無料配布のものは、ほとんど主催さんがおまけで入れてくれたのですが、もしかしたら購入した作家さんのものを優先的に入れてくれたのかなぁと思いました。感謝感謝です。

上記にあげた以外にも写真集やブックカバー、便箋などもあって、本当にいろんなzineが見られる楽しいイベントです。いつか直接行ってみたいのでそれまで続くといいなぁと思っています♪