短歌ハッシュに掲載されていたご縁でくさびりんたさんのネプリ「柳句歌談」を読みました。
プリント期間は大分前に終わっているのですが、とても刺激を受けた作品だったので思うところを書き留めておこうかと。
A4の紙1枚に掲載されたシンプルさが素敵でした。川柳、俳句、短歌と、いろんなジャンルの一行詩で綴られていく詩ものがたり。
全体のテーマは田舎や地方と都会との差、そこにある孤独じゃない孤独、なのかなぁ。ひとりでそっと読んでいたくなる静謐な世界観。敢えてひとりであることを選択してるけれど、自然体で無理がなく、その中で静かに光るものをひろっているような、そんな雰囲気が良かったです。
いくつか気になった一行詩を引用抜粋させていただきます。
都市へ行く長距離バスに眠る繭
そのままですが、夜行バスに乗ったときのことを思い出しました。最後の「繭」に、夜行バスのカーテンを想像しました。全部閉じられて、世界と隔絶されるけれど、それをやさしく繭と呼ぶのかと。
七夕の夜に西瓜に現れた種の銀河に流星スプーン
よっぽどの田舎じゃないと銀河なんてもう見えないですね。七夕の夜、一人で西瓜食べるのも悪くないのかも、って思う歌。
ワイパーのメトロノームで越える山
小さい頃、車で家族旅行に行ったとき、山をひとつ越えている最中に雨が降り出したことを思い出しました。孤独を感じさせるのですが、どこかユーモラスでもあって、いいなぁと。
編集でカットされてるシーンでは手をつないでた、きみと、さよなら
最後の歌。誰に見えていようが見えていまいが、ここで、さよなら。物語を書いた人が、読んだ人に終わりを告げているのかなぁって思いました。
特にいいなぁというか、コメントが書けそうな作品だけ抜粋しましたが、全体に漂う静かな雰囲気が好きです。こんな風に切り取られていく世界もあるのだなぁと勉強になりました。
何より、ジャンルにこだわらず、ただ一つの物語として綴られていくのがとても新鮮で、新しい世界が開けた感覚です。私も次に作る作品は、こんな風に様々なジャンルを合わせて一つの物語に本にしたいと思いました。
おまけ。短歌だけじゃないけど短歌読書用ノートも書きました。自作は読んだ感想そのままです。