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Twitter300字ss:永遠に眠るのならば冬がいい冬ならきっと許してくれる

下記の企画に参加します。

ジャンル:オリジナル、ファンタジー、竜が死ぬ、自作短歌解凍小説

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竜は、終わりのときが迫っていることに気付いた。

あたたかく、甘い香りが吹く季節だった。

竜はうずくまり、そこから二つの季節を越え、すべてが凍てつき死に絶える季節を目指した。

死を迎えるならば。

自らの命だけではない。竜という、種そのものの死を迎えるにふさわしい季節へ。

 

花が散り、緑が溢れ、実り、色づき、枯れてゆく。

 

そうしてたどりついた空を、竜は飛ぶ。

鱗が剥がれ、体液が溢れ、肉が崩れてゆく。

竜は飛ぶ。

自らの、そして種の最期のために。

竜は、

 

落ちた竜の眼が、最期にとらえたのは白。

天より降りそそぐ、花びらのようなそれは、竜の肉体をきれいに覆い隠してゆく。

 

世界の理から逸脱した種へ、哀れと神が贈ったのが雪だという。

 

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