Twitter300字ss:永遠に眠るのならば冬がいい冬ならきっと許してくれる
下記の企画に参加します。
第三十八回のお題は「贈り物」です。物、言葉、想い等、誰かに誰かが贈り贈られる光景を作品にして下さい。概要→ https://t.co/GtCHTLOpLL に沿って12/2日21時~24時に #Twitter300字ss と @Tw300ss をつけ投稿して下さい
— Tw300字ss (@Tw300ss) 2017年11月30日
ジャンル:オリジナル、ファンタジー、竜が死ぬ、自作短歌解凍小説
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竜は、終わりのときが迫っていることに気付いた。
あたたかく、甘い香りが吹く季節だった。
竜はうずくまり、そこから二つの季節を越え、すべてが凍てつき死に絶える季節を目指した。
死を迎えるならば。
自らの命だけではない。竜という、種そのものの死を迎えるにふさわしい季節へ。
花が散り、緑が溢れ、実り、色づき、枯れてゆく。
そうしてたどりついた空を、竜は飛ぶ。
鱗が剥がれ、体液が溢れ、肉が崩れてゆく。
竜は飛ぶ。
自らの、そして種の最期のために。
竜は、
落ちた竜の眼が、最期にとらえたのは白。
天より降りそそぐ、花びらのようなそれは、竜の肉体をきれいに覆い隠してゆく。
世界の理から逸脱した種へ、哀れと神が贈ったのが雪だという。