むかしむかし本当に起きた事なのか、とおいとおい未来の予言なのか、わからないまま人々はかたる。
竜について、かたる。
神に逆らって滅ぼされた哀れな生き物だとかたる者がいれば、世界を滅ぼすためいつか現れる化け物だとかたる者もいる。
「ほんとーはどっち?」
「どっちだと思う?」
「う~ん……りょーほー!」
「両方?」
「むかしいっかい滅ぼされちゃったんだけど、こんど世界を滅ぼすためにもっかいあらわれるの!」
「なるほど」
「いいでしょー」
「そうだね。じゃあ、そう、かたっておこうか 」
「もうすぐオトナの超短編」氷砂糖選に応募した超短編です。兼題部門「お伽話」で優秀賞をいただきました。丁寧な選評、ありがとうございました。選評は以下よりご覧いただけます。
で、選評をいただいて速攻で書き直してみたのが以下。
「ねぇ、竜ってさーどっちなの?」
「なにが?」
「人間にさ、竜はむかし神に逆らって滅ぼされた化け物だって言ってるやつらと、世界を滅ぼすために遠い未来に現れる神の使いだって言ってるやつらがいるの」
「へぇー」
「ほんとーはどっちなの?」
「どっちだと思う?」
「う~ん……りょーほー!」
「両方?」
「むかしいっかい滅ぼされちゃったんだけど、いつか世界を滅ぼすためにもっかいあらわれるの!」
「なるほど」
「いいでしょー」
「そうだね。じゃあ、そう、かたっておこうか 」