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Twitter300字ss:冬の夜は孤独を孤独で灯してる。星の光の強さがほしい

下記の企画に参加します。

ジャンル:オリジナル、自作短歌解凍小説

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硬いパンが二日に一度の食事で、泥水をすすって空腹を満たした。夜は路地裏の、澱んだ闇に震えながらくるまる。眠れない夜よりも、眠れた夜を数えたほうが容易い。

 

行く先も帰る家もない、誰にも知られず気にもとめられることなく消えていく。それが悲しいともつらいとも思わずに。

 

ぼくらはそういう生き物だ。

弱くて
弱くて
弱くて
簡単に消えてしまう。

 

それでも、同じ生き物たちと身を寄せ合えばあたたかかった。そこに灯るいのちに触れていると、消えてしまうことが恐ろしくなり、ぼくらはぎゅっと身を寄せ合った。

 

冬は、ひとつ夜を越えると、ひとついのちの灯が消える。

消えなかった灯が、消えた灯を喰らうのだろうか。

 

明け方の空に、星が瞬いた。

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冬の夜は孤独を孤独で灯してる。星の光の強さがほしい