7 Library

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夏の思い出ひとつずつ、ほら(短歌連作)

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夏の思い出ひとつずつ、ほら

 

 八月のフォルダの中は子どもらと夏のすべてを飾る夕焼け

 

 たい焼きの型の外側パリパリでいっぴきぜんぶ初めて食べた

 

 家の前空き地の工事に終わり見えもうあそこでは遊べないんだ

 

 抜け殻を死んじゃった、と言われればそこにいのちはないのだけれど

 

 お祭りの服に着替えて初めての花火ぱちぱち炎が怖い

 

 真夜中にドライブをして星を見た夜空の星と地上の星

 

 三歳のわざとじゃないが止まらない血の海になり泣き叫ぶ声

 

 救急車初めて乗って麻酔して手術までした五歳児の指

 

 海沿いの堤防散歩 永遠にならないことを知っているから

 

 かき氷食べ尽くしたらまっかっか夏の思い出ひとつずつ、ほら

 

 公園で家族みんなでピクニック夜になるまで走り回った

 

 思い出のうえに連なるソーラーパネル夕焼け色に輝いている

 

 もう二度と来ない夏です来年はどんな我が子に逢えるのだろう

 

 

うさうららさん主宰の短歌ハッシュ9月号のテーマ「夏の記憶」から詠んだ、子どもたちとの夏の思い出をまとめてみました。