夏の思い出ひとつずつ、ほら(短歌連作)
夏の思い出ひとつずつ、ほら
八月のフォルダの中は子どもらと夏のすべてを飾る夕焼け
たい焼きの型の外側パリパリでいっぴきぜんぶ初めて食べた
家の前空き地の工事に終わり見えもうあそこでは遊べないんだ
抜け殻を死んじゃった、と言われればそこにいのちはないのだけれど
お祭りの服に着替えて初めての花火ぱちぱち炎が怖い
真夜中にドライブをして星を見た夜空の星と地上の星を
三歳のわざとじゃないが止まらない血の海になり泣き叫ぶ声
救急車初めて乗って麻酔して手術までした五歳児の指
海沿いの堤防散歩 永遠にならないことを知っているから
かき氷食べ尽くしたらまっかっか夏の思い出ひとつずつ、ほら
公園で家族みんなでピクニック夜になるまで走り回った
思い出のうえに連なるソーラーパネル夕焼け色に輝いている
もう二度と来ない夏です来年はどんな我が子に逢えるのだろう
うさうららさん主宰の短歌ハッシュ9月号のテーマ「夏の記憶」から詠んだ、子どもたちとの夏の思い出をまとめてみました。