歴史小説アンソロジー すごくあたらしい歴史教科書『日本史C』(主宰:史文庫・唐橋史さま) の感想です。
本の趣旨や各作品のあらすじなどは主宰者様のブログにありましたのでそちらへ。
1年ぐらい前から史文庫・唐橋史さまの本に興味を持って、『総督と画家』『出雲残照』あたりを読んですごく面白かったので、そこからがつがつ買い占めていったついでで購入した歴史小説アンソロジー。
歴史は嫌いじゃないけど積極的に勉強しなかった派の私でもどれも面白く読めましたが、どこまでが創作でどこまでが本当の歴史だったのかはほとんどわかりませんでしたw 日本史詳しい人はより楽しめるのだろうなぁと思います。
あと、時代順に読んでて思ったのですが、なんだかんだで日本は平和な時代になったんだなーと感じました。良いか悪いかは別として。
以下は個々の作品への感想ですが、Twitterにアップしたものに少しだけ加筆修正してまとめただけです。
■ 掲載作品感想 ■
● 刻の彼方より/紅侘助さま
ファンタジー小説を読んでる感覚で面白かったです。最後のヒダトキさんが素敵。続き読みたいです。タイトルがこのアンソロの最初にすごくぴったりでかっこいい。
● あかのくさび/白藤宵霞さま
血生臭い話がきれいにまとまっているなぁと思いました。読了後にぐぐって「へぇーそういう話なんだー」となるぐらい日本史はダメダメです←
● 楽土の幻/ななつほしなみさま
好きです。正直歴史的な部分はぐぐっても(←)よくわからなかったんですけど、父と兄の心理描写がすごくじんわり染みました。
● 袈裟を着た人/唐橋史さま
読了後タイトルに皮肉というか因果応報というかとにかく納得。最初から最後までテーマのブレがなく、時代(世界観?)を感じさせる描写ががっつりで惹き込まれる素晴らしい作品だったと思います。
● 闇衣/たまきこうさま
なぜか話全体が抽象的?な感じがしました。最初から歴史を知っていると楽しみ方が違ったんだろうなぁと思います。
● 賭射/斎藤流軌さま
さくっと読めて面白かったです。歴史的背景がわかるとまた違った味わい深さがありそうですが、それを抜きにしても楽しめました。
● 祈りの焔立つ時~俊寛異聞~/翁納葵さま
『山月記』を思い出しました。構成が丁寧で好きです。最後はいろいろと考えさせられました。
● おやこ六弥太/緑川出口さま
歴史小説っぽくない感じが面白かったです。
● 業火に咲く花/すと世界さま
歴史小説が真正面からドーン!とぶつかってきたような感じ。人間の愚かさが愛しくなる話。好きです。
● 歌え、連ねよ花の笠/向日葵塚ひなたさま
この本の中で一番ポジティブな話でした。良かったです。一揆のイメージがかなり変わりましたが実際のところどうなんだろうという疑問がちょっと残ってます。
● 銀蛇/上住断靱さま
戦がメインの話は好きなんですが、登場人物が多くて追い切れなかった感があります。織田信雄の無能っぷりはとても良かったです。
● 奥州女仇討異聞/狩生みくずさま
登場人物がすごく魅力的だっただけにメインの仇討が書かれていないのが残念でした。方言、いいですね。
● 白い脚/庭鳥さま
この本の中で一番好き。登場人物(特におきん婆さん)とテーマがとても魅力的で最初から最後まで面白く読めました。あと創作時の参考になります(ぇ
● 二刀流の提灯男/巫夏希さま
単純な構成で面白かったです。描写があっさり目だったので濃い目が好きな自分には物足りない感じでした。
● 異国の風/ 鋼雅暁さま
明るくてスカッとしてて時代を感じさせる作品ですごく良かったです。「かすていら」美味しそうでした。
● 海より深く空より青く/Nagisa(なぎさ)さま
この本の中で唯一の恋愛モノ。非常に焦れったかったです。大陸の描写がほとんどなかったのが違和感。
● 沼辺に佇む/アルトさま
一つの時代の終わりを感じさせる哀愁漂うお話。主要人物2人のキャラが魅力的で、会話や、そこから想像させられるそれぞれの抱えている心情が味わい深いです。
● 端倪すべからず/保田嵩史さま
最後の最後に推理(探偵?)物。コミカルで面白かったです。
いろんな作家さんの作品が読めて、日本の歴史をざっくり一気読みしてちょっと賢くなれた気分も味わえて、いろいろ考えさせられるアンソロジーでした。楽しかったです。
アンソロジーは作品ごとの感想をつけるとどうしても長くなりますね。
それでは読んでくれた方はお疲れさまでしたー。