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歌う星(300文字小説)

(下書きフォルダにいたのを完成させました。たぶん「歌」のお題だったのでは?と思います)

春、あらゆるものの芽吹きが不協和音を奏でます。空、風、水、動物、植物、その他この星のあらゆるすべてが本能の赴くままに叫ぶためです。生まれたばかりの彼らにはそれが精一杯なのです。

夏、音は小さくなります。彼らが自分以外の存在に気付き、それらが発する音を聴くようになるのです。

秋、彼らはお互いの音を聴き合いながらリズムを揃え、合唱を始めます。この宇宙でいちばんうつくしいといわれる音楽です。
ここから「歌う星」と呼ばれ、今では大抵の宇宙旅行のプランに組み込まれています。

冬はありません。秋が終わると星は少しずつ静かになっていき、やがてすべての音が消えます。そうしてまた春に生まれる。ここはそういう星なのです。